仕事をしている母親が子育てが苦しくなるのは単に時間がないだけの問題でない

仕事をしている母親が子育てが苦しくなるのは単に時間がないだけの問題でない

親業訓練講座に参加されるお母さんも、仕事を持つ方が多くなってきました。

 

社会で責任ある地位につき、フルタイムで働いている方も多いです。


私も20代は上場会社で総合職として仕事してた経験があります。仕事は厳しさの中でやりがいがあり、毎日とても充実していました。

 

そんなワーキングママの悩みは、家庭の中で子どもとの折り合いが悪くなってしまう時。

 

どんなに社会的に成功してても、自分の子どもと親子関係が悪いことは、女性にとってはすごく辛い事だと感じます。

 

特に「学校に行かない」「断絶状態」「大きな反抗にあっている」とき、社会で働く女性は「社会の仕事」の他にも「母親としての責任」をどちらも抱え込んでしまって、精神的にダメージが大きいのではないでしょうか?

 

逆に、どんなにハードな仕事をしていても、家庭内の風通しがよく夫や子どもの理解が得られていると実感できるときには、やりがいを感じながらサクサク仕事をこなせますよね。

 

仕事をする女性にとっては、子育てと両立するためには何を大切にすればいいのでしょうか。

 

「100%仕事生活」をしてきた私が、「100%子育て生活」に移行する中で、自分の中でモヤモヤやイライラを感じながら、「働く女性にとっては一体何が大切なんだろう」とずっと問いかけてきた事について、書いてみたいと思います。


子育てと言う「仕事」の難しさ


私は結婚前は総合職として仕事をしていました。

 

それまでの生活で、犬や猫など「生き物を育てる経験」はほとんどない状態。そんな私が結婚し、「子育て」をする中で、とても自分が苦労したし、そして「大切だなあ」としみじみと思ったことがありました。


私は自分の仕事に誇りを持っていたし、社会的にも認められていました(多分)。よく気が付くと褒められていたし、自分でもそう思っていました。

 

なので、正直言って子育てだって「楽勝」だと思っていたのです。なのに、予想を大幅に上回る苦戦を強いられてしまったんです。

 

自分でも驚きと戸惑いの連続で、どうしたらいいのかサッパリわからずに、泣きたくなるほどでした。


なんだかね、シックリいかない、というか、子育てそのものが、全く楽しくないんです。

楽しくない!

(仕事の方が100倍楽しい( ノД`)シクシク…←心の声)

 

自分には母親としての適性がないのではと、自信を無くしながらも、「イヤイヤそんなはずはない、、、」とも思っていました。

 

だって、女性の仕事としての子育ては、もっとも大切な仕事のひとつだと私は思っていたし、それなら、もっともっと楽しいはずのモノだと思いたかったのかもしれません。

 

そうでないと、人生は試練の連続で辛いものになっちゃうし、それは私はイヤだな〜って思ったんです。

 

「じゃあ、なんでこんなに楽しくないんだろう?何がどうなっちゃってんだろう?」と、色々と考えるうちに、わたしなりに結論に至ったことがありました。

仕事と子育てには「脳ミソ」の使い方が大きく違う

仕事をしていた私が家庭に入り、子育てを楽しめなかった一番の理由は「仕事や現代社会で必要とされる事と、子どもを育てるときに必要とされる事には、大きな違いがある」ことに、なかなか気づけなかったことです。


それは、私は「脳ミソの使い方が違う」と言う事だと理解しています。

母親として使っている「脳ミソ」と、仕事をしていた時に使っていた「脳ミソ」が全く違うことに気づいた時、あ!これだ!と思いました。

私は、短大を卒業後10年ほど大手企業に勤めました。初めは事務職として、その後は総合職になりコンピュータソフトの技術営業をしていました。総合職なので、決まった作業をこなすようないわゆる「ルーチンワーク」ではなく、自分で売り上げを上げることが仕事でした。

 

問い合わせのあるお客さんへ、積極的に商品説明、使い方の指導、フォローなどをしていました。


その時の私の思考はこんなカンジ
  • どうやったら、自社の製品を使って頂けるか?
  • 相手の要望は何か?
  • その要望をどのように満たしていくか?
  • 何が出来たら喜んでいただけるか?
脳ミソをフルに使って、毎日毎日、そんなことばかり考えていました。

営業の仕事って、顧客が希望することの「ちょっと先」を提案できれば、購買率がすごくあがるんです。

「あ、この人の望んでいることは〇〇だろうな。そしたら△△まで提案しているときっと喜んで買ってもらえる」

この、相手の「ちょっと先」を考える「脳ミソ」。そして、合理的に段取りよく能動的に行動する「脳ミソ」。

こんな生活を繰り返していましたから、常に効率を考えて、かゆいところに手をとどかせながら、相手の半歩先をよむ!みたいな思考回路がすっかり身についていたのです。

おかげで私の営業成績はよく、部署内でも認められるほどになっていきました。

が、

社会生活の中では必要だったこの「脳ミソ」でしたが、この思考が子育て生活においては、全くしんどいモノとなりました。

なんということでしょう〜〜。今まで評価された脳ミソが子育てでは「仇」になるなんて。なぜなら「ちょっと先」を「段取りよく」考えるほどに、子育ては辛くなるのです。

だってね、子育てとは、生活のすべてが「受け身&待ち時間」なのです。

母親の仕事は100%待つ受身の仕事だった


合理的に段取りよく能動的に行動したくてうずうずする私にとっては、自分の思うようにいかない事案&時間の存在、つまり自分でコントロールできないこと事態が、何とも耐えられずに苦痛でした。

合理化に慣れた生活の中で、

The自然な赤ん坊の存在。。。

私は、思い通りに進まないということと、毎日、ただこなしていくだけの毎日で、何も生産性のある仕事をしていないと思うことが、とても大きなストレスに感じられました。

段取りが全く組めずに、振り回され感100%
予定通りに家事がすすまない。

掃除したはずの床は、ミルクをこぼされ、
オムツを変えた途端、またオシッコ。。。
全てが受身!

毎日、ウンチとおっぱいの世話ばかりで、生産的なコトは何も考えられず、基本的には待ち仕事ばかりです。

脳ミソがどんどん退化して、アホになっていくような気がしました。

100%受身である母親の仕事が辛くて辛くて、ウズウズしていました。

こま切れの時間ばかり。
自分らしいことは何もできない。

ただ動物としての母親として「受動的な生活」に甘んじることは、本能を抑えて生産性のあるものに価値を見出す人生を良しとして、そう生きてきた私には到底受け容れがたいもの。

言いようのない屈辱感と虚無感を感じていたのです。


社会人として必要とされて発達してきた脳と、母親として発達してきた脳は違うと気づく


人を育てる仕事は基本的に「待ち仕事」であり、それがとても尊いものだとシックリときたのは、それからずっと後のことです。

 

「手出ししない」と言う事は、忍耐力が必要とされる仕事でした。私がそれまでで行ってきた仕事は、お客様の為に「手出しする」仕事でしたから、そりゃ〜真逆ですね。。。

 

そして、どちらが良いとか悪いとかはなく、どちらも大切。

 

その上で、その違いを正しく理解しておくことがとても大切だと結論付けました。

 

これは私の考えですが、社会人と、お母ちゃんとでは使っている「脳」が違うんだと思います。


母親歴も20年が経とうとしていますが、今は、以前とは脳の違う部分が発達したと思っています。

たとえば、家族がテレビを観ながらくつろいでいるリビングで、本を読めるほどの集中力は、お母ちゃん脳では使いません。

でも、お母ちゃんは、なにをしているでもなく家族が集まっているリビングの中心に、何もしなくても、圧倒的な安心感で、あたりまえのように、そこにいることができます。

無意識的に家族の様子を気遣っているから、突然、家族のうちの誰かが何か言い始めても、ちゃんと受けてあげられて、話につきあってあげられるんです。

つまり、お母ちゃん脳では、「聞くモード」にわざわざ入れなくても、いつも「聞くモード」に入っている状態です。

そんなことは、当たり前だと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

それが、がんばらなくてもできてしまうのが、お母ちゃん脳のスゴイところです。

実際に、私は、母親になるまでは、集中すると、周りが見えなくなるタイプでした。

なので、こんなに自然に家族全員の話が頭に入ってくる状態そのものが、母親になってからの脳ミソで開花された使い方だなあと、思うのです。

社会人と母親では使っている脳が違う。

こう、考えることができるようになって、現代の子育ての難しさが少しわかった気がしました。


仕事をしているお母さんに必要な「脱効率化」への切り替え

今のお母さんはほとんどの人が仕事を持っています。

色々な仕事がありでしょうが、効率化できる方、いわゆる「できる!」人ほど、子育てって、しんどいものでしかないだろうなとも思います。

私は、仕事をやめてしまったので、実際に両立されている方のご苦労は「憶測」でしかありませんけど、でも、自分の中でもしばらくは「仕事モード」が抜けきれずに引きずっていましたし、その事に、気づいてさえいなかった自分がいたからです。


そのしんどさの理由を自分なりに理解して、意識して考え方を「仕事モード」から「子育てモード」にパチッと変えられると、いいのかな〜とも思いますけど。


仕事モードのまま突入すると、早くご飯を食べさせたり、早く寝かしつけたり、と、子育ても効率化に占拠されまいそうで、なんだかとても心配です。

  

すると、ココロは育ちにくいのかと思います。


それに、子育てを楽しむ余裕が生まれませんしね。。。ちょっともったいない

 

そして、待つことで育つものがある、ということを、もっとお伝えしたいのです。

子育ては効率化とは真逆です。

時間手間ココロがかかります。

 

せめて、その事を少しでも心に留めておくと、子どもへの関わり方が違ってくるのかなあって思うのです。

 

仕事をしてるからこそできる事を考えてみる

 

仕事をしているお母さんにとっての注意ポイントをお伝えしましたが、じゃあ、仕事をしない方が良い、と言っているのではありません。

 

そうではなく、「子育ての究極のツボ」を押さえて、あとは手抜きできるような「省エネ子育て」が私の研究ポイントですから、そのツボを自分なりに見極めたいと思いました。

 

ブレずに仕事をするために、仕事と育児のバランスを保つポイントはどこか?

 

おせっかいですが、私なりに考えてみました。

 

仕事をしながら子育てもバッチリワーキングママになるための4つのポイント 

 

気を付けたらいいと思う事項は大きくは次の4つです。

  1. 仕事と家庭の優先順位について
  2. 仕事をしている母親の一番の難点・機能不全ではないかという罪悪感との闘い
  3. 子どもに対するビジョンをもつ
  4. 仕事を持っている母親だからこそ伝えられる社会性
  5. 夢を語る
 

①仕事と家庭と何をのぞんでいるのかハッキリさせておく

 

これはね、もう、ゼッタイにはっきりとしていた方がいいと思います。

 

「どっちも」大事だとは思いますが、「どっちも」はないです。あなたにとって本当に大切なものをよーく考えてみてください。

 

こういう事って、ちゃんと考えておくほうがイイと思います。

 

意外に曖昧になっていることがあるのかな。

 

それでは、「ママはわたしよりも仕事がいいのね」なんて言われた時、「私の大切なのは〇〇よ!」って、パシッと言えないのかなと思います。

 

この、パシッということがとっても大事だと思います。

 

イザとなったら、腹をくくる覚悟って、必要じゃないかな。これはなんにでも言えることだと思うけど。覚悟って、人を納得させたりすると思います。それがわかると、子どもは頑張れたりすると思います。

 

だからと言って、コトバだけではダメです。

 

イザとなったら、大切なものを選ばなければいけないのです。

 

「家庭」という人が多いかもしれませんが、もし、「仕事」を選ぶ人がいてもOKだと思います。

 

いい親になろうとしないこと。そこで無理をすると、表面的には穏やかになるかもしれませんが、必ず軋轢がでると思います。私はそれよりも自分の人生を本気で生きている方がいいと思います。

 

「家庭」よりも「仕事」が好きだという方は、それもあなたなのです。

 

誰に何と思われようが気にしないことの尊さを示すことになると思います。

 

 

②仕事をしている母親の一番の難点・機能不全ではないかという罪悪感との闘い

 

もう、これが一番の難敵です!

 

これがあるから、子育てが余計にややこしくなる、と言ってもいいと思います。

 

この、罪悪感が根底にあると、子どもが問題を起こしたとき、どうしても「私が母親として失格?」とか「淋しい想いをさせたから?」とか思ってしまいます。すると、どうしても「甘く」なるのです。「優しく」でなく「甘く」なる。

 

自分の罪悪感から子どもが可哀想に思えて、必死に挽回したくなります。すると一気に不安や心配がどどっと押し寄せてきます。すると仕事と家庭の板挟みでしんどくなります。悪循環になります。

 

罪悪感にいたたまれなくなると、どうしても解決を焦ってしまいます。すると、力を使うか、ますます譲歩し甘くなりがちです。譲歩とみせかけて、最後はゴリ押しの力技をググッと使う、など。それは最悪パターンかな?

 

 

③子どもに対するビジョンをもつ

 

仕事をすることで、子どもに目が行き届かないことの罪悪感を払しょくするためには、新しい家庭・親子関係のビジョンが必要だと思います。

 

個人が対等な存在であり、お母さんも一人の人として自分の人生を生き、その姿を見せることは、一人一人が大切にし合う真に民主的な家庭を実現することになります。それは、子どもを子ども扱いしない、参加型の家族運営です。

 

仕事を持っていると、子どもに目が行き届かないので、行き届かそうとしますけれど、そっちを考えない方がイイと思います。

 

そうでなく、人として自分の人生に責任を持って生きることを教える。困った時に助けてあげるのが「親の役目」でいいのではないでしょうか。

 

そのイメージがあると、イザ問題が起こった時の親の立ち位置に迷わないと思います。

 

 

④仕事を持っている母親だからこそ伝えられる社会性

 

仕事をしている母親は、問題処理能力も高く、サクサク仕上げていく「仕事脳」の持ち主。そこが「お母ちゃん脳」とは違うところです。

 

そこで大事なコトは、「お母ちゃん脳」にチェンジすることでなく(それは意外とムツカシイので)、「問題の所有者」を明確にするコト。

 

子どもが困っていても、

「あ〜ら、それ、わたしの問題じゃないわ〜」と涼しくスルー。そして、自分で責任を取るように見守る。

 

これ、仕事場なら普通ですよね。なので、仕事をしているお母さんは得意だと思います。

 

「あら、段取り悪いのは、あなたのせいでしょ。がんばってね。」みたいな態度です。(心の声ですよ)

 

怒ったり叱ったりする必要はありません。何でも経験から学ばせるということです。

 

ここができないと、最悪のケース②になりがちです。


親に影響がある時は、キチンと伝えるべきです。相手を責めずに、困ってことをしっかりと伝えて、協力を仰ぎましょう。

 

 

⑤夢を語る

 

お母さんが仕事に自信と誇りを持ち、自らを語ってくれると、子どもは大人になると仕事を通じて社会的貢献をすることを、当たり前に受け容れるようになるでしょう。

 

仕事をしている人は魅力的です。

 

子どもに「お母さんが仕事をしてて、淋しい想いをさせてごめんね」と言えば、「あなたは淋しい子」だと教えていることになります。すると「ああ僕は淋しい可哀想な子どもなんだ」と子どもは自分の事を思うようになるのではないでしょうか。

 

  

女性は仕事と家庭の両立で悩まれる方が多いと思います。


このバランスは人それぞれです。

お母さんが「ホンモノの笑顔」でいることが、家族の幸せにも繋がると実感します。

自分が働くことで子どもにガマンさせることを負い目に感じるのではなく、

子どもに上手にガマンしてもらうようお母さんの関わり方を工夫することがおすすめです。

大好きなお母さんの笑顔の為に頑張ろうという気持ちが、他者への思いやりの心を育てることに繋がります。

「ごめんね」でなく「ありがとう」と、心を込めて言ってあげることで、子どもは自分がいることがお母さんの役に立っていることを、身をもって自然に感じるのではないでしょうか。

 

  

真に民主的な家庭で社会性を育てておく

 

大好きな人の幸せに貢献している、と実感できることほど、「自己価値観」が上がる事はないと思います。

 

お母さんがワーキングママの場合、子どもも自然に家事の分担を負っているケースが多いですが、家族の為に働くことを自然に教えられることは、社会の中で協力し合いながら生きる精神を自然に育てることに繋がっていると思います。 

 

家族の家事分担を、親子一緒に考えられるような、真に民主的な家庭を築けると、家族のメンバーそれぞれがもっと気持ちよく自分の人生に集中できる環境がつくれるし、そこを目指していきたいと思います。



おかん塾からあなたへのメッセージ

女性は仕事と家庭の両立で悩まれる方が多いと思います。

このバランスは人それぞれです。でも、お母さんが笑顔でいることが、家族の幸せにも繋がります。


自分が働くことで子どもにガマンさせることを負い目に感じるのではなく、


子どもに上手にガマンしてもらうようお母さんの関わり方を工夫してみてください。


大好きなお母さんの笑顔の為に頑張ろうという気持ちが、他者への思いやりの心を育てることに繋がります。


「ごめんね」でなく「ありがとう」と、


心を込めて言ってあげてください。