私が親業を受講しようと思ったきっかけは、長男ゆうま(3歳)の「反抗期」と弟が生まれた後の「赤ちゃんがえり」でした。何かにつけグズグズ言いだし、思うようにならないと扇風機を投げたり、ガラスの置物を投げて割ったりと、3歳とは思えない暴れ方で家庭内暴力状態でした。
気持ちの切りかえがうまくできず、こだわりが強い長男を、以前からどこか育てにくい子と感じていて、子育てを一度も楽しいと思ったことはありませんでした。
二男出産後は、夜の授乳に、長男の夜泣きや早朝5時半起床が重なり、私の睡眠時間が減り、肉体的にも精神的にも追い詰められていました。
そんな私は暴れる長男を力で抑えることしかできず、格闘の末、私も長男も泣いてばかりいたのです。
こんな毎日ではいけないと思っていたある日、ふと以前に参加した親業の講演会を思い出しました。講演会で、子どもの気持ちになり子どもの感情をくみ取ってフィードバックすることを聞いていたので、暴れ出した長男に対し、「寂しかったんだね。ママに甘えたかったんだね」と、話しかけてみました。すると「うん」と返事が返ってきたのです。長男の怒りのエネルギーが消えていくのを感じました。
長男は、次男が生まれ自分にだけ向けられていた愛情が弟にも向けられるようになり、不安で、戸惑い、寂しかったのだ。そんな気持ちをどうすることもできず、暴れていたのだ。「子どもの気持ちをくみ取って伝える」こんな簡単なことだったのか。今まで私は何をやってきたのだろう・・・
そうと思うと、涙が出てきました。
藁をもすがる思いで、親業訓練一般講座の申し込みをしましたが、下の子どもが生まれたばかりだったので、離乳食が始まるのを待ってから私は受講することにして、先に主人に講座を受けてもらいました。
大人として父親として納得の講座(父)
講座で学んだ聞き方や伝え方は「なるほど!」と思えるものでした。またそれを実際に講座の中で練習することや、自分の子どもに対して実践していくことの重要性にも気づきました。
ある日、長男と遊びに行った帰り道、長男がぐずり始めました。いつもだったら、ずっと泣き続けて手に負えない場面です。
子 お昼、食べたかった
父 お昼たべたかったんだね
子 フードコートで食べたかった食べたかった うえ〜ん
父 そっかあ。ゆうまはフードコートで食べたかったんだね。そうだったんだ…
子 ・・・
このときは気持ちを込めて、子どもの気持ちになった気で聞いたように思います。泣きやんで無口になり、不思議に落ち着いて、寝てしまいました。決して、コトバで答えが返ってきたわけではないけれど、子どもの気持ちが落ち着いたのが驚きでした。それまでは能動的な聞き方をしていても、どこか自分が求めること、言ってもらいたいことを言わせるために誘導していた気がします。でも、自分でもそのときは雄馬の気持ちがわかったような気がしました。
講座を受ける前の自分は、大人のなり方、親のなり方を教えてもらったこともなく、見聞きしたことを何のためらいもなくマネをしていたにすぎなかったのだと思います。2カ月と言う受講期間は長い人生の中ではほんの短い期間でしたが、親業という芯のあるを学び、やっと一人の人間として、大人として、親として、目指すひとつの姿が見えたように思いました。自分の「気づき」を大切にされ、受け入れられたことも貴重な体験でした。
講座中に長男の発達障害がわかりました。動揺しながらも、「焦らず子どもに接していけば、きっとこの子も自分で「気づき」を得、問題だって障害だって自分で解決していけるだろう」と非常に心強く思えました。
主人は既に長男の心のオアシスとなっていましたが、受講前の私は長男の発達障がいがわかると、焦りや不安が強くなりました。長男のできない事ばかりに目に行き、どうしたらよいかわからず、「長男をもう愛せないかも」と思う日々でした。が、受講していくうちに、私自身、落ち着きを取り戻していきました。
長男も、私の変化を感じたらしいと思いました。私が出かける日、初めて「ママ〜行かないで〜」と泣いて見送る長男をみて、私も長男の心のオアシスになり始めているのだと嬉しく思いました。
ある日、泣き始めた長男と目が合い、私の膝もとに来るので、覚悟を決め能動的な聞き方をしてみました。彼は今どんな気持ちなんだろう、彼の気持ちをどう表現すればよいのだろうと必死で感情をフィードバックしました。すると、段々と長男は落ち着き、最後には「ママ抱っこ」と言い、泣きやみました。いつもなら「こうしたかったー」と泣いた原因にこだわり続けるのに。
主人が私の対応を見て、神わざのようだと言ってくれました。
泣きやまないのは、発達障がいが原因ではなく私の対応の仕方が間違っていたのだ、発達障がいがあっても大丈夫!と思える大きな出来事でした。
またこんなこともありました。
朝の支度をしているとき、私が準備した靴下が気に入らず・・・
子 パトカーの靴下がいいよーこれイヤだ!
母 パトカーの靴下がいいんだね。かっこいいもんね。
子 うん
母 ママね、パトカーの靴下、買ったばかりで名前をつけていないの。保育園にはいて行って、もしなくなったら戻ってこなくなるから、ママ困るなあ〜
子 ・・・
黄色の靴下だして〜
母 はい、どうぞ
パトカーの靴下をはくと言い続けるのかと思いましたが、本人なりに考え、答えを出したので嬉しかったです。
親業の講座を受講して、「もう愛せないかもしれない」と思っていた長男が可愛い我が子に戻り、子育てに少しずつ楽しみを感じられるようになりました。
雨の日もあれば、晴れの日もある。いつもニコニコママではいられないけれど、子ども、主人、そして私自身の心に寄り添い、心のオアシスでいられるように過ごしていきたいと思います。