子どもの自立・自己規律心が育つ家庭環境をつくる親の学び場
  1. おかん塾の子育て論
  2. 生徒や保護者との関係づくり
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親子関係づくりのプロによる、生徒が心をひらく「先生との関係づくり」の原理とは?

親子関係づくりのプロによる、生徒が心をひらく「先生との関係づくり」の原理とは?
先生の仕事や学校環境は、私たちが幼い頃とは全く変わってきています。

先生の仕事量の多さがしばしばニュースや問題として取り上げられています。もちろんそれもあるでしょう。

ですが、本当に先生の気持ちをダウンさせてしまう深刻な問題とは、生徒への対応や、保護者への具体的な対応などではないでしょうか。

生徒や保護者との良好な人間関係があれば、事態は全く変わります。

多少忙しくてもやる気が出てきたり、モチベーションがアップし、アイデアが湧いてきます。また、忙しさや困難さ共有し、乗り越えたからこそ得られる仲間意識や一体感、達成感など、その時は過酷でも、後々には、人生の宝物のような想いでは誰でも持っているかもしれません。

それは、良好な人間関係がなければ、雲泥の差。

悪態をつかれ、先生が悪いと罵られ、何度言っても響かない、届かない。また、やる気が見えない、約束を守らない、嘘をつく、感情を逆なでされる、などなど、、、

教師は、自分の努力が実る気配を感じられくなる時、つまり、生徒や保護者との信頼関係に自信が無くなる時、大きなストレスや虚無感を抱えてしまうのだと思います。

私は、子育てを親と子の人間関係の問題としてとらえて、親の成長をうながす親教育プログラムの指導者として、18年間にわたり、多くの親子関係の改善に携わってきました。私自身も3人の息子の母親として、子どもが育つ土壌づくりとは結局のところどんなものなのだろうと、親としての役割について、常に検証を繰り返してきました。

そんな私が、断言できることは、子どもの健やかな成長・発達を促進するために必要なのは、「親子の信頼関係」です。

が、それだけでは説明が不十分。

親子関係を改善し、子どものやる気を促すために大切なのは、「信頼が伝わる親のコミュニケーション技能」です。

親は愛情を持っていますし、子どもへの尊重や信頼の大切さも知っています。でも、多くの親が失敗するのは、尊重や信頼の「伝え方」なのです。

親や教師が子どもに愛情と信頼をどれだけ持っていても、子どもにそれが伝わっているか?の方が100倍大事です。

つまり、子ども自身が「親から愛されている」「先生から大切にされている」と実感できるコミュニケーション能力の向上こそ、関係改善の手がかりであり、もっとも近道だと思っています!

それは、私が偶然、トマスゴードン博士の「親業」と言うメソッドに出会ったから、わかったことです。伝え方こそが、親子関係改善のカギを握っていると共感した私は、すぐに受講して、以来自らの子育てで実践!その後インストラクターの資格を取得して「おかん塾」を始め、現在に至っています。

教育困難校の先生からの問い合わせ

そんな私の元に、ある高校の教師から「親業訓練」「教師学」のお問い合わせがありました。

荒れる生徒たちを前に、すっかり自信を無くされて、教師を辞めようかと思い詰めておられた様子。

毎朝、下足場で停学になった生徒を迎えて個別対応する日々が数か月続き、週末は家庭訪問。先生なりに精一杯対応してきたようでしたが、空回りしたりうまくできなかったりすることが多く、落ち込む気分で八方塞がりだったそうです。


先生は、自分のものの見方や考え方を変えなければ教師を続けることはできないと感じ、ある心理学の短い講座を受講しました。そこで、たまたま参加者の方から「親業」の話を聞いたそうです。


親業の教科書を初めて読んだ時はとても感動されたとか。「本当にこれが、私が目指したい姿」だと強く感じたそうです。


「教師学講座」を受講する前に、オンライン開講していた「親業訓練」を受講して、生徒との具体的なコミュニケーションの原理とスキルを実践的に体得する「ゴードンメソッド」の学びを始められました。


親業訓練と教師学は、その対象者が違うので、切り口や理論は多少違っています。ただ、どちらも人間関係つくり方の基本は同じです。なので、同じメソッドを使います。

葛藤とジレンマ、怒り、不安、対立、をどうするか?

教師には「生徒の全てを受け入れ、正しく導きたい」という教師としての「理想」と、「教師も一人の人間。生徒のすべてを受け入れられない」という生身の人間としての「現実」がありますよね。

それは、親もまったく同じで、親であっても一人の人間だから子どもの全てを受け入れる事はできません。

親業と教師学では、教師の「理想」と「現実」は、その2つともはどちらも大切な要素であり、「理想」VS「現実」のような構図にはしません。これらは、一人の生身の人の中にはどちらもあることであり、それらをどのように、「コミュニケーションスキル」として落とし込んでいくか?に焦点を当てます。

根幹となる考え方を深く落とし込みながら、その場その場でどのように対処していくか?

この、「今どう対処するか?」という現実性があるのが、このメソッドの最大の魅力であり、特徴です。

繊細で多感な子どもを相手にして、テクニックだけでは人間関係は築くことはできません。まさに、人間性のそのものが表出してしまう作業です。同時に、自分と出会う作業ともなります。

なぜなら、コミュニケーションには自分を表現する事が不可欠だから。

この作業が意外と大変(-_-;)、、、なんですが、一人の人間らしさを取り戻す作業ともなるので、どんどんラクになってくると言われるのが不思議(笑)。

メソッドは、それだけでは単なる方法論として作為的なものになる危険性があります。ですが、その真意と一体化することで、コミュニケーションスキルとしての先生の聞く力や感受性を大きく育てます。

この先生も、生徒の心の扉を開く特別な聞き方「能動的な聞き方」を習得したことが、劇的な変化をもたらしたようです。

日々生徒に接する際、積極的に生徒を理解することに努め、生徒とする会話はもちろんのこと、しぐさ、表情、行動、すべてをしっかり見て理解しようとしてみたそうです。


すると、、、生徒が落ち着き、深い悩みをどんどん話し出し、そして先生の話を以前より素直に聞くようになり、日々の授業が楽しくなり、、


親業講座受講中の短期間に起こった変化に驚くばかりだったようです。


目からウロコ!大切なのはココだったんだと成長できる学び

実際に目の前で起こった「変化」に驚いた後で、人は初めて気づくんですよね。今までの自分が何を観ていたのか?生徒を観ているつもりでも、生徒の話を聞くことができていなかったのだと。


これは、もちろん、私の事(-_-;)

そして、多くの親や先生も言われることです。でも、ムリはないことなのかもしれません。「え、「聞く」ってこういうことだったの??」と、学んでみて初めて「わかる」ようになったことなので。

そして、子どもを責めたりしないでホンネを語り合えるという「新しい人間関係の世界」が開けて、もっと豊かで幸せな人間関係が築いていけるのだと、感激しました。

先生や親は、子どもの為に一生懸命!!が「子どもの発達」においては「盲点」となりうることも、その理由と対処法などを踏まえながら、自然に深く理解できてくると思います。


教師はメソッドを手掛かりにして、自分の言葉を変えることができます。

すると、生徒の反応が確実変わります。好循環ができるころには、関係性が自然に変わって来るのです。

生徒を育てるための関係性づくりの軸がある

親業や教師学は、単なるコミュニケーションメソッドですが、ここで築く生徒と教師との信頼関係が、生徒の心を健やかに育てる土台となります。

それは、生徒の成長なのですが、同時に、教師や親の成長にもつながります。

教師も一人の人間であり、率直な自己表現が、生徒との心の絆をつくっていく経験を積めるから。

でもね、そんな事は、誰でもが知っていますよね。

そして、ほんとうの問題は「じゃあ、具体的にどうすればいいのか?」と、「どこをどう改善すればいいのかを的確にわかる人がいない」という事だと思います。

具体的な改善の為の、たくさんのヒントが教師学講座にはあります。

自信を持って、生徒に愛を伝えられるのは、とても心地よいものですし、そんな豊かな人間性の先生だから、生徒との信頼関係も増していくのだと思います。

先生がもっと自分らしく、自信を持って生徒と接するために、コミュニケーションの力を借りるのはとても有効だと思います。