Aさんは、高校の現役の先生でした。先生のための教師学講座をご希望でしたが、先ずはオンラインで開講していた親業訓練講座から学ばれました。
私は高校で教師をしており、子どもはいません。そんな私が親業を受講したきっかけは、荒れる子どもたちを前に、教師を辞めようかと思い詰めたことでした。
私は今、いわゆる教育困難校と呼ばれる高校に勤めています。昨年度担任を受け持った高校1年生のクラスの生徒の半数が中学校にまともに通っておらず、それでも高校で再スタートを切ろうと入学したものの、学校生活に馴染めずにルールに引っかかってしまうことが日々続いていました。1学期の間は毎日一日中トラブル対応で休む間はなく、停学案件も連日のように続きました。毎朝下足場で停学になった生徒を迎えて個別対応する日々が夏休み明けくらいまで数か月続き、週末は家庭訪問。その時の私なりに精一杯対応してきたつもりでしたが、空回りしたりうまくできなかったりすることが多く、自分は教師に向いていないと感じていました。落ち込む気分で八方塞がり。自分のものの見方、考え方を変えなければ教師を続けることはできないと感じ、私はアドラー心理学の短い講座を受講してみたのです。そこでたまたま参加者の方が少し親業の話をしてくださり、それが私と親業との出会いになりました。
親業の教科書を初めて読んだ時の感動は今でも覚えています。本当にこれが、私が目指したい姿だと感じたのです。最初は教師学を受講したかったのですが、参加できる講座がなく、浦入先生に親業講座に入れていただけないかお伺いしました。浦入先生が二つ返事で承諾してくれたときは、本当に嬉しかったです。
親業の講座を受講してまず、浦入先生だけでなく他の参加者の方々が教師の私を快く受け入れてくださったことが、とても有難かったです。おかげで、本で読んだだけではわからなかったことが、とてもよく理解できました。「行動の四角形」「能動的な聞き方」「わたしメッセージ」など、すべて教師にとっても大切な考え方だと感じました。特に「能動的な聞き方」は、私に劇的な変化をもたらしているように感じています。
能動的な聞き方を習ってから、私は日々生徒に接する際、能動的に生徒を理解することに努めるようにしました。生徒とする会話はもちろんのこと、しぐさ、表情、行動、すべてをしっかり見て理解しようとしてみたのです。すると、、、生徒が落ち着くではありませんか。生徒が私に深い悩みをどんどん話し出すではありませんか。生徒が私の話を以前より素直に聞いてくれるようになるではありませんか。
そして、日々の授業が楽しくなりました。講座受講中の短期間に起こった変化です。
正直驚きました。そして気づきました。私は長い間生徒を見て、生徒の話を聞くことができていなかったのだと。自分がいかに生徒に話をするか、いかに教師という役を演じるか、ということに囚われすぎていたのだと。気づくのは遅かったかもしれませんが、ずっと気づかないままでいるよりはずっと良い、これからは学んだことを生徒に返していけるよう、日々親業の練習を続けていきたいと思っています。親業は私の教師としての考え方の軸になりました。
今は春休みでしばらく生徒と接していないので、親業の効果を再度実感するのは始業式以降です。昨年度がとても大変だったので、正直なところ始業式を迎えるのに不安がないわけではありません。でも、学校は親業を試せるチャンスの宝庫でもあります。親業で学んだことを思い出しながら、日々生徒を能動的に理解することに努め、生徒の力を信じ、本物の自分で生徒に接していきたいと思っています。
浦入先生、本当にありがとうございました。今後も復習会を定期的に開催してくださることは、本当に有難いです。お邪魔にならないようにしますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
A先生は、続いて教師学講座も受講されました。
〜教師学感想〜
7時間×4日の教師学が、あっという間に終わってしまいました。
私は昨年の12月に親業に出会いました。一人で本を読むことから始め、今年の2月3月に親業講座を受講し、4月は親業復習会や教師学の1日講座に参加し、5月6月は自己実現講座を受講し、7月8月で教師学を受講してきました。あまり意識していませんでしたが、気づけば半年以上途切れずに親業を学んできたということになります。
本を読んだときの感動、講座を受講してさらに目から鱗、ロールプレイによる練習、日々の実践。失敗を重ねながらも「これだ」と信じて続けてきたのは、何といっても楽しかったからです。
日々の変化は小さなものですが、振り返ってみると、この半年で私自身随分変わったと感じています。変わったというより、ありのままの自分自身に還る方法を身につけつつある。より自分を正確に表現できるようになった解放感、より相手を理解できるようになった嬉しさ、親密感。
こんな自分に戻りたかったんだなと、心から感じています。今回講座の最終日に同じ受講生の方から「表情がとても明るくなった」と言われました。心がシンプルで軽くなってきたと実感していましたが、それが外から見てもわかるほどなのかもしれないと嬉しく感じました。
親業に出会うまでは大変でした。
もともと不登校の生徒が多く通う高校に勤めているのですが、生徒の反応や行動がすべてカオスに感じたといいますか、、本当に規律をなくしてしまった状態になってしまい、それに対する私の対応も場当たり的なもので、どうすれば良いかわからなくなってしまっていました。本当に辛かったです。
こうしたらどうかな、あれが失敗だったかな、またやってしまった、、。負のスパイラルにはまり込んでしまっていた私を救ってくれたのが、親業であり、インストラクターの先生方であり、一緒に学んだ方々でした。
今回教師学を受講して、やっぱりすごいなと思ったのは、講座の内容がとても実践的で現場ですぐに使えそうなものばかりだったことです。それが半世紀以上前にアメリカで考案されたメソッドであるということが驚きに感じられるほど、今の私の仕事にすぐに役立つ内容でした。
生徒の話を聞くことを徹底的に練習すると同時に、教師の想いもしっかり大切にして伝えていくところがとても良かったです。対立したときは、どちらも負けない方法を対等な立場で考えていくことも強く意識づけることができました。浦入先生が日ごろから実践されている能動的な聞き方や、まっすぐに自分自身を表現されるやり方、すべてをさらけ出しても大丈夫と思える空間を作ってくださっていることも、お手本にさせていただいています。
今は夏休み明けで生徒も落ち着いていて、私もあまりストレスなく日々過ごしているのですが、2学期は長く行事もあるのでいろいろ起こってくることと思います。今まではトラブルが続くとどうしようかとクヨクヨ考えてばかりいましたが、今は何があっても親業の原点に立ち返って対応していこうと思える安心感があります。
また日々の実践を記録してお伝えいたします。私の親業生活はまだ半年ちょっと。これを入り口にして、深めていきたいと思っています。